COLUMN
公開日:2024.12.9
スタートアップの資金調達成功法をスケール・ステージ別に解説します。資金調達の基本から助成金・補助金の活用法、支援機関の活用方法、心構えまでを網羅的にご紹介します。資金調達の選択肢を詳しく知り、賢い資金調達を実現しましょう。
スタートアップの資金調達成功法を知ることは、ビジネスの成長に欠かせない要素です。資金調達をすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。それは事業の立ち上げや拡大に伴うリスクを軽減し、成長を促すことです。しかし、その方法はスタートアップのステージや成長速度によって異なります。さらに、助成金・補助金の活用法や資金調達相談・支援機関の活用法を学ぶことで、より効果的な資金調達が可能になります。
本記事では、資金調達の基礎知識からスケールやステージ別の方法、助成金の活用法や相談窓口まで、幅広く解説していきます。スタートアップの資金調達に関する理解が深まり、ビジネスの成長につなげるための具体的な方法がわかるでしょう。成功への道を切り開くため、ぜひご参考にしてください。
【 目次 】
スタートアップにとって資金調達はビジネスを始める上で重要な一歩で、事業の開始や拡大、新製品の開発など、会社の成長に欠かせない要素です。企業が利用できる資金調達方法は多岐にわたり、それぞれに特徴と利点があります。資金調達方法の中には、担保や信用がなくても利用可能な補助金や助成金、借入や融資もあります。また、投資家からの出資やエンジェル投資、ベンチャーキャピタルも資金調達の選択肢の1つです。
適切な資金調達方法を選ぶためには、事業のステージや資金調達の目的、返済能力やリスクを正確に把握することが重要です。資金調達に関する相談や支援を提供する専門機関も存在し、無料で利用できる場合もあります。資金調達の基本を理解し、適切な方法を選択することで、事業の成功へとつながるはずです。
資金調達が必要な理由は、ビジネスの成長を促進するためです。新規事業の立ち上げや既存事業の拡大、商品開発やマーケティング活動の強化、人材の確保や教育・研修、設備投資やインフラ整備など、スタートアップでは多額の資金が必要になります。自己資金だけでこれらを賄える企業は、それほど多くはありません。
また、資金調達は競合他社との差別化や市場シェアの確保を目指す上で非常に重要です。差別化させるサービスを開発したり、マーケティングを行ったりするためには、まとまった資金が必要になるでしょう。市場シェア確保においては、必要な人材採用といった営業活動費も必要になります。
他には、資金調達によって企業の信用力を高めることもできます。資金調達ができるということは、その企業が信用されていることの裏返しでもあるからです。1つの資金調達を機に、その後の資金調達がスムーズに進む可能性があります。
スタートアップの事業ステージに応じて、最適な資金調達方法が存在します。初期段階では、創業者自身の資金や友人・家族からの借入、エンジェル投資家からの出資や助成金・補助金の活用が一般的です。さらに成長すると、VC(ベンチャーキャピタル)や金融機関からの融資、さらには上場を目指してIPOなどの資本市場での資金調達が選択肢になっていきます。ステージ毎の資金調達方法を理解し、適切な選択を行うことで、効果的な資金活用が可能となるでしょう。
一方で、各資金調達方法にはメリットやリスクが存在するため、事業の規模や目的、将来のビジネス計画などを考慮して、最適な方法を選択することが重要です。適切な資金調達戦略を立てて、スタートアップの成長を加速させましょう。
シードステージとは、事業のアイディアを具体化し、市場に適合する製品やサービスを開発する初期段階のことをいいます。起業前でまだ具体的な事業内容が定まっていない中で、準備を行う段階です。アーリーステージとは、起業直後でプロトタイプ開発や初期顧客獲得を目指すステージのことです。
これら初期段階における資金調達方法は、個人や家族・友人からの支援、エンジェル投資家からの出資、クラウドファンディング、ベンチャー企業向け補助金・助成金などが有力とされています。
資金調達のポイントは、強力なビジネスプランをもち、投資家に自社のビジョンを伝える力です。また、提案力や信頼性も求められるでしょう。初期投資家を巻き込むことで、その後の資金調達がスムーズに進むこともあります。
ミドルステージとは、すでに一定の顧客ベースがあり、業績も伸びている中で、さらなる成長を目指す段階のことです。
この段階での資金調達方法は、VCによる投資、事業会社からの出資や提携、金融機関からの融資が有力となります。資金調達のポイントは、これまでの実績と今後の成長戦略を明確に示すことです。VCや事業会社に興味をもたせるためには、既存事業の成功と、新たな事業展開の可能性を示す必要があります。また、スケールアップに必要な資金調達を戦略的に行い、適切なパートナーを見つけることが重要になります。
レイターステージとは、企業がすでに安定した経営基盤を確保しており、市場での順調な成長が見込まれる段階のことです。
資金調達方法には、より大規模な投資家や金融機関からの融資や、IPO(上場)を通じた資金調達が挙げられます。重要なポイントは、経営戦略の明確化と持続可能な成長の見込みを提示することです。また、リスクマネジメントも重要であり、投資家に安心感を与えるために積極的な情報開示やコーポレートガバナンスの整備が求められます。
Exitステージとは、安定した収益を得ることが可能になったことで、第三者に株式を売却したり、株式公開したりすることで、投資資金や利益を回収する段階のことです。
資金調達方法には、IPOやM&A(バイアウト)などが挙げられます。重要なポイントは、経営への参画姿勢を明確にすることです。M&Aでは創業者が経営に参加できなくなる場合が多く、IPOでも持ち株比率によって経営への影響力が変わります。
助成金や補助金は、国や自治体が提供する資金援助で、新規事業開発や雇用創出など、経済活性化に寄与する企業を支援することを目的に用意されています。
活用先として、新規事業開発にかかるコスト、 雇用創出や人材育成、 研究開発や技術革新など、さまざまなメニューがあります。ポイントは、助成金・補助金の対象となる事業や条件をよく調べ、適切な申請を行うことです。助成金・補助金を取得した場合の報告義務や助成金受給後の運用状況もチェックされるため、自社の事業計画と合致したメニューを選ばなければ、助成金や補助金が自社事業の負荷になることもあり得ます。
助成金・補助金はビジネスの成長を支援するために、企業や個人事業主の資金調達手段として利用されることが多い資金調達の方法です。助成金・補助金申請の際には以下のポイントと注意事項を押さえておきましょう。
資金調達相談・支援機関は、企業や個人事業主に対して資金調達の方法や適切な制度を提案するサービスを提供しています。たとえば、資金調達ニーズの整理、資金調達先候補の選定やマッチング、申請手続き、助成金・補助金申請、その他情報収集などです。公的機関が実施しているプログラムもあれば、スタートアップ専門に事業として支援サービスを提供している、エイジェックのような民間企業もあります。
資金調達相談・支援機関を活用する際のポイントは、信頼性の高い機関を選定し、サービスの内容や手数料を確認することです。信頼性は、支援してきた実績や企業としての安定性などで判断します。担当者の人柄や姿勢なども企業としての信頼性を判断するポイントになります。注意すべき点は、機関が提案する方法が必ずしも自社に適しているとは限らないため、最終判断は自社で行う点を踏まえておくことです。
近年は、公的機関も手厚いサービスを提供していますが、申請書類や報告書類が煩雑で、業務上の負荷になる場合も多いといわれています。より機動的で現場感のある支援を求めるならば、スタートアップ支援を行う民間企業のサービス提供を受けるのもよいでしょう。
資金調達ができても、無駄に消費してしまって、事業拡大に結びつかなければ意味がありません。
資金調達の目的を明確にし、投資家や支援機関に対して説得力のある事業計画を提示できるようにする「目的の明確化」や、資金調達に伴うリスクを把握し、適切な対策を講じる「リスク管理」は重要です。また、資金調達に関する最新の情報や動向を常に収集し、自社に適した資金調達方法を見つける「継続的な情報収集」、市場環境が変化する中で、自らも変化しながら対応する「柔軟な対応力」、事業計画で決めたことを継続してやり続けられる「根気強さ」なども、経営者の資質として非常に重要な能力です。資金調達先は、経営者のこうした部分をよく見ており、信用されなければ、今回調達できても、次回の調達に苦労することもあります。
資金調達を失敗しないためのポイントは、事前の準備と戦略的なアプローチです。
まずは調達計画を明確にし、どのような資金が必要かをリサーチします。次に、エンジェル投資、VCファンド、融資、補助金などから適切な資金調達方法の情報収集を行い、選択肢を広げる必要があります。さらに、投資家や金融機関と関係を築き、信頼を得ることが重要です。事業計画書を作成し、自社のビジネスや市場の分析を行い、キャピタルはどのように活用されるかを明示できるようにしましょう。最後に、資金調達に関わる法的問題や契約に注意を払い、専門家に相談しながらリスクを明確にすることは、必要不可欠です。
ライター:株式会社ネオマーケティング