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スタートアップのビジネスモデルとは?マネタイズ戦略と思考法

公開日:2024.12.27

スタートアップで利用できるビジネスモデルとマネタイズ戦略について解説します。マネタイズの重要性や相互作用、有用なマネタイズモデル、ビジネスモデル構築のフレームワークについて詳しく説明し、ビジネスモデルの構築方法をご紹介します。

スタートアップにおいて、ビジネスモデルとマネタイズ戦略の理解は不可欠です。本記事では、ビジネスモデルとマネタイズの関係、よく用いられるマネタイズモデル、ビジネスモデル構築のフレームワークについて解説します。

本記事を読めば、スタートアップにおける事業成長の鍵ともなるマネタイズ戦略を、より具体的・効果的に検討し、実現することが可能になるはずです。ぜひ、実践に役立ててみてください。

ビジネスモデルとマネタイズの関係

ビジネスモデルとマネタイズの関係

ビジネスモデルは、企業が顧客に価値提供を行い、それによって利益を上げる仕組みを指します。マネタイズは、ビジネスモデルにおける収益化のプロセスで、どのようにして顧客から売上を得るかを具体的に構築する活動です。この2つを一緒に考えることは、ビジネスの成功を追求する上で不可欠です。ビジネスモデルとマネタイズの関係を理解し、適切な戦略を立てることによって、企業は効率的に成長していくことが可能になります。

マネタイズの重要性と基本概念

マネタイズは、企業が収入を得る仕組みそのものであるため、重要であることは言うまでもありません。ビジネスモデルが、顧客に価値を提供して利益を上げるという、ビジネスの全体像であることに対して、マネタイズはその価値をどのようにお金に換えるかを考えることです。

一般的に、マネタイズの方法は商品やサービスの販売、サブスクリプション、広告収益などがあります。どの方法を選択するかは、自社のビジネスモデルや、顧客の購買行動における習慣といった、市場環境によって異なります。

ビジネスモデルとマネタイズの相互作用

ビジネスモデルとマネタイズは相互に影響し合うものです。ビジネスモデルによっては、特定のマネタイズが有効に機能することがありますが、場合によっては機能しにくいこともあります。マネタイズの方法が、ビジネスモデルの実現に大きな影響を与えるのです。

たとえば、広告収益に依存するビジネスモデルでは、媒体を見るユーザー数やページビューの数といった指標を重視し、これらを増やすビジネスモデル構築が行われます。マネタイズでは、広告のクリック数や閲覧数、コンバージョン率に応じた報酬設定が行われます。こうした仕組みは、ビジネスモデルと連動したマネタイズが連動している事例といえるでしょう。

スタートアップで用いられるマネタイズモデル

ステークホルダーへの情報公開を機にリスク管理を強化

市場にはさまざまなマネタイズモデルが存在します。代表的なものには、商品販売、サブスクリプション、広告収益、アフィリエイト、手数料、課金モデルなどがあります。ビジネスモデルに合わせて、これらのマネタイズモデルを適切に選び、効率的に売り上げを拡大させていきましょう。ここでは、各マネタイズモデルの概要を紹介していきます。

販売モデル

販売モデルは、商品やサービスを顧客に提供し、代金を受け取ることで売上を上げる方法です。小売店がその典型的な事例で、商品を販売すること売上を得ています。古くから存在するマネタイズモデルですが、近年は店頭販売だけでなく、オンラインショップやアプリ内課金など、さまざまな形で販売モデルが用いられており、ビジネスモデルに適切にマッチした形で活用されています。

サブスクリプション・定額モデル

サブスクリプション・定額モデルは、顧客が一定期間ごとに料金を支払い、サービスや商品を比較的自由に利用できるマネタイズモデルです。企業としては売上を安定的に得られるメリットがあります。具体例としては、NetflixやSpotifyのような動画・音楽配信プラットフォーム、通勤定期券などがこのマネタイズモデルを採用しています。

このモデルは顧客に価値を提供し続けることが重要で、顧客が求める価値を安定して提供し続ける必要があります。コンテンツ配信プラットフォームの場合は、競合他社との差別化に成功すれば、収益を急増させられる可能性があります。一方で差別化に失敗すれば、解約数が増えて売上が急落する可能性もあるのです。

広告・アフィリエイトモデル

広告・アフィリエイトモデルは、無料で利用できるサービスやコンテンツを提供する媒体を作り、広告主からの広告掲載を通して収入を得るマネタイズモデルです。ユーザーが媒体を無料で利用できることが多く、読者が多くなれば、広告主に広告効果をアピールします。具体例としては、情報系ウェブサイトやアプリ内の広告表示、商品紹介によるアフィリエイト報酬が、このマネタイズモデルを採用しています。

このモデルは、ユーザー数が伸びるほど広告収入も増えるため、幅広い顧客層へのアプローチが不可欠です。一方で、広告主にとっては自社商品の購入や問い合わせが重要となるため、購入意欲の高い読者層が集まっているかどうか、厳しく精査されます。コンバージョン率が低いと広告主が離れていくため、媒体としてコンテンツの質や閲覧者の質も重要です。

手数料モデル

手数料モデルは、取引の仲介やサービス提供により手数料を得るマネタイズモデルです。具体的には、不動産仲介や人材紹介、ビジネスマッチングサービスなどが、例として挙げられます。

本モデルの特徴は、取引価格が高いほど、収益も大きくなる点です。そのため、取り引きされる商材の単価や市場規模の大きさが重視される傾向があります。すでに他の事業で顧客とつながる太いネットワークを保有している場合、手数料モデルのサービスを上乗せすることで、新たな収入源を得ることも可能です。

一方で、収入が安定化しにくい点が課題になります。取引ごとに収入を得ることが多いモデルであるため、潜在顧客が少ないと、売上が散発的になりがちです。収入を安定化させるためには、多くの潜在顧客を囲い込む必要があるでしょう。

利用量に応じた課金モデル

利用量に応じた課金モデルは、顧客の利用量や購入数に応じて料金が変動するビジネスモデルです。具体例としては、ゲームアプリや、携帯電話のインターネット利用料、電気・ガス・水道などライフライン供給事業、時間貸し駐車場などがあります。ユーザーは、利用規模に応じた利用料を支払います。基本料金が設定されることも多く、一定の範囲内であれば無料・または定額の範囲内でサービスを享受できる場合もあります。

顧客が利用すればするほど収入も増えるため、提供元の企業は、顧客のエンゲージメントを高めることが求められます。ユーザーが「もっと利用したい」「また利用したい」と感じれば、より高額なオプション購入につながり、顧客あたりの単価が高くなっていくのです。一方で本マネタイズは、利益率の向上に時間がかかることが多いため、中長期的な事業展開が必要になります。

ビジネスモデル構築のフレームワーク

助成金・補助金の活用法

ここからは、ビジネスモデルを構築する方法を説明していきます。優れたビジネスを構築するためには、深い思考が求められますが、何もないところから考えると思考が発散してしまいます。

そこで有用なのが、ビジネスモデル構築を助けるフレームワークです。これらを活用することで、戦略やアイディアを整理しやすくなります。また、これから紹介するフレームワークは、事業アイディアを他人にわかりやすく説明するツールにもなります。ぜひ活用してみてください。

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、2010年にアレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールが提唱したフレームワークです。経営資源や収益源を明確にし、ビジネスモデル全体のバランスを把握するためのフレームワークです。ビジネスを構成する9つの主要な要素を書き出していくことで、それぞれ要素間の関係性が整理され、視覚的に把握できるようになります。

9つの要素は、ターゲット層や顧客インサイトである「顧客セグメント」、自社の存在理由であり他社と差別化ポイントである「価値提案」、顧客にアクセスする経路である「チャネル」、顧客にとっての自社の立ち位置を示す「顧客との関係」、本記事が扱うマネタイズ方法である「収益の流れ」、価値提供に必要な経営資源である「主なリソース」、自社が実際に行う事業活動である「主な活動」、価値提供に必要不可欠となる外部リソースとして「主なパートナー」、利益率に影響する「コスト構造」です。

9セルフレームワーク

9セルフレームワークは、ビジネスモデルに重要な9つの要素に回答していくことで、ビジネスにストーリー性をもたせられるフレームワークです。兵庫県立大学の川上昌直教授によって考案されました。

9つの質問は、「顧客価値」「利益」「プロセス」の3分野に分かれており、各分野で「Who(誰に)」「What(何を)」「How(どのように)」の3つの質問が投げかけられます。前述のビジネスモデルキャンバスの要素と重複する部分がありますが、9セルフレームワークの特徴は、「利益」つまりマネタイズの部分を深く掘り下げられる点です。

質問を掘り下げていくことで、「顧客でない人は誰なのか」「利益を得なくても良い部分はどこなのか」「利益を追求する場面はどこなのか」が明らかになります。そうすることで、採用するマネタイズモデルの選択や、具体的な売上獲得の仕組みが洗練されていきます。

ピクト図解

ピクト図解は、情報を視覚的に表現する方法で、どのようなビジネスや事業でも簡単に説明できるフレームワークといわれています。ヒトやカネ、モノなどにアイコンを用いて、概念やプロセスを図式化することで、誰でも一目で理解しやすい資料を作れます。

ピクト図解のメリットは、 複雑なビジネスモデルを簡潔に表現できることです。誰にも簡単に説明できるというメリットもありますが、ピクト図解の最大のメリットは「無駄なものを削ぎ落とす」ことです。

「シンプル・イズ・ザ・ベスト」とよくいわれます。複雑なビジネス構想から無駄なものを削ぎ落としていくと、ビジネスにおける真の価値や競争力の核心が見えてきます。そこがわかれば、最適なマネタイズ方法を選べるようになるはずです。たとえばAppleは、iPhoneなどの機器販売よりもApple Store等の無形商材事業の方が高い利益率となっています。マネタイズのポイントを無形商材の事業に定め、そのためにシンプルな事業スキームを構築しています。

SWOT分析

SWOT分析は、企業の内部環境の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、外部環境の機会(Opportunities)、脅威(Threats)を明確化し、企業の競争力やリスクを明確にするためのフレームワークです。自社の立ち位置を明確に把握し、市場での競争力を向上させる方法を考えやすくします。

具体的には、自社の強みを活かした商品やサービスを開発したり、弱みに対処し、リスクを低減したりします。また、新たな市場や顧客層への進出を検討したり、市場環境の変化に対応した戦術策定をしたりしやすくなります。これらの要素を整理することで、客観的にマネタイズすべき市場を明らかにすることが可能です。

まとめ:マネタイズ思考法で成功への道筋を駆け上がる

ここまでご紹介したマネタイズモデルやビジネスモデル構築のフレームワークは、それぞれ独自の特徴と利点をもっており、スタートアップの競争力を確保する上で有用です。これらの手法をうまく活用すれば、ビジネスの価値を最大化し、成長と成功への道筋をつけられるでしょう。事業戦略を検討する際に、ぜひ活用してみてください。