COLUMN
公開日:2025.01.7
スタートアップとベンチャーの違いを6つの視点から徹底的に比較します。定義、ビジネスモデル、スピード感、収益性、資金調達方法、出口戦略の視点で、両者の特徴を解説します。
スタートアップとベンチャー、どちらがあなたの興味を引きますか? それぞれの違いを明確に理解できているでしょうか? 本記事では、スタートアップとベンチャーの違いを徹底比較し、6つの視点から解説します。この記事を読むことで、スタートアップとベンチャーの違いがクリアになり、ご自身の事業やキャリアについて考えやすくなるはずです。
【 目次 】
スタートアップとベンチャーは、両者とも新しく設立された企業を指しますが、その定義には違いがあります。スタートアップは、イノベーションを追求し、急速な成長を目指す企業です。一方のベンチャーは、リスクを伴う事業に取り組み、既存の市場に革新を起こすことを目標とした企業とされています。しかし、実際には両者の境界は曖昧であり、それぞれの企業がどちらのカテゴリに属するかはケースバイケースです。ここでは、両者の定義を掘り下げて解説します。
スタートアップは、世の中にない新たな事業を創出する企業で、独特の技術やアイディアを駆使し、まだ開拓されていない市場への進出を試みます。シリコンバレーで誕生した言葉として定着し、日本にも浸透しつつあります。スタートアップとされる企業の代表例には、Google、Amazon、Meta、Uberなど、イノベーションを促進し、短期間で急速な成長を遂げる企業が挙げられます。
ベンチャーとは、新規ビジネスを行う企業全般を指すものとされています。スタートアップと比較した時、スタートアップは事業に独自性が強いことに対して、ベンチャーは既存ビジネスを扱う企業として位置付けられることもあります。ベンチャーという単語は、アドベンチャー(adventure)をもとに日本で作られた和製英語で、現在では、成長過程の企業全般を指す言葉として非常に幅広く使われています。設立が間もない企業や、スモールビジネスを展開する企業、さらには単に社員数が少ない企業も含まれる場合もあります。
スタートアップとベンチャーは、それぞれ異なるビジネスモデルを採用しています。ここでは、それぞれが一般的にどのようなビジネスモデルなのかを説明します。
一般的に、スタートアップのビジネスモデルは革新的なものが多く、成功すれば既存市場を塗り替える場合が多々あります。具体的には、次の特徴があるといわれています。
一般的なベンチャーのビジネスモデルは、既存事業の改良型であるものが多く、中長期的に既存市場におけるシェアを拡大していく場合が多々あります。具体的には、次の特徴があるといわれています。
スピード感の違いとは、市場環境や組織の柔軟性、事業の展開速度など、ビジネスの進行速度や対応力における差異のことです。ベンチャーとスタートアップの運営方法や競争力にも大きな影響を与えます。ここでは、両者のスピード感について詳しく説明します。
ベンチャーはスタートアップと同様に、迅速な事業展開が求められます。ただし、スタートアップのようなブルーオーシャン(従来存在しなかったまったく新しい市場で、競合他社がいない)をターゲットとするのではなく、既存市場を開拓していくため、経営リソースの投入方法やスピード感は若干異なります。既存市場に対する挑戦や事業規模の拡大が期待されるため、他社との差別化戦略のぶれない実行なども重要になります。
ここでいう収益性の違いとは、企業が利益を上げる能力や事業の収益基盤の強さに関する差異のことです。これはベンチャーとスタートアップ企業の競争力や継続性、発展性に大きな違いをもたらします。ここでは収益性の違いについて説明します。
スタートアップは世の中にない新規事業を展開することで、競合他社がいない新たな市場を開拓し、先行者利益を得ることを目的とする場合が多いとされています。
スタートアップのビジネスモデルが市場で受け入れられれば、短期間で大きな利益を上げることも可能で、高い成長率を実現できます。逆に市場で受け入れられなければ、大きな赤字が続くこともあり得ます。軌道に乗るまで数年間は赤字が続く場合もあるため、余裕をもった資金計画が求められるでしょう。また、競合他社の登場や、業界における新たな技術革新が収益性に大きく影響します。
ベンチャーは既存のビジネスモデルをベースにすることが多いため、すでに市場が存在する場合が多いです。既存市場の中で新たな工夫や競合他社との差別化を行い、事業規模の拡大を狙います。
先行事業者がいるため、収益性にはある程度の見通しを立てることが可能で、事業規模の拡大と収益拡大を見通しやすい特徴があります。ただし、競合他社に勝てるサービスの作りこみが必要になるため、開発に時間がかかったり、開発期間中の赤字が大きくなったりする場合があります。競合企業が多いため、市場動向に注意を払い、継続的なイノベーションと市場適応力をもつことが重要です。
資金調達方法には、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、銀行融資、クラウドファンディングなどがあります。それぞれの特徴やリスク、資金提供の条件が異なるため、事業内容や規模に応じての選択が必要ですが、ベンチャーとスタートアップでは、資金調達方法に多少の違いがあります。
スタートアップは新たなビジネスモデルをゼロから作り出す場合が多いため、需要の存在を立証するのが難しく、失敗するリスクが比較的高いとされています。また、初期は収益が見込めないこともあるため信頼性が低く、銀行から融資を受けるのが難しい場合も多いです。
スタートアップの資金調達方法には、主にエンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資が挙げられます。エンジェル投資家は個人投資家であり、スタートアップ段階で資金やノウハウを提供してくれる存在です。ベンチャーキャピタルは、投資先企業の成長をサポートし、リターンを追求する投資会社です。クラウドファンディングや政府支援制度などの活用も可能ですが、資金調達額や条件に制限がある場合もあるため、計画的に選択することが重要です。
ベンチャーは、既存のビジネスモデルをベースにしていることが多いため、ある程度収益性を見通せるメリットがあります。そのため、理解や一定の信頼を得やすく、銀行融資や助成金・補助金を獲得しやすいといわれています。
それだけでなく、実績が積みあがり事業も安定すれば、ベンチャーキャピタルやIPO(上場)の他、企業との業務提携なども選択肢として上がりやすいです。ベンチャーキャピタルはスタートアップでも同様によく利用されており、ベンチャーの中でも高い成長が期待される企業が投資を得やすいとされています。IPOによる資金調達は、資金調達額が大きく、企業価値の向上が見込まれますが、上場に伴うコストや規制が厳しくなるため、適切なタイミングや条件で行うことが重要です。
出口戦略は、ビジネスを成長させた先に投資家へのリターンを実現する方法です。スタートアップとベンチャーでは、出口戦略に違いが見られます。スタートアップは、より短期間で成果を追求し、早期の売却や上場を目指すことが多い傾向があります。一方、ベンチャー企業は、長期的な視点で事業を展開し、安定した収益基盤の構築を重視するため、出口戦略も長期間にわたって実施されることが多いです。ここでは出口戦略の違いをさらに詳しく説明します。
スタートアップの出口戦略の主な目的は、短期間で投資家に利益をもたらすことだといわれています。そのため、急速な成長と事業の拡大が求められます。
具体的な方法として、他の企業への売却(M&A)、IPO(株式の公開売却)などが挙げられます。こうした方法が活用されれば、投資家は株式を長く持ち続けることによるリスクを回避し、大きな利益を得られる可能性があります。
ベンチャーの出口戦略もスタートアップと同様、投資家に利益をもたらすことですが、より長期的な視点で投資家へのリターンを実現する特徴があります。
既存のビジネスモデルを長期的に拡大させていくために、IPOを出口とするケースが多いです。また、上場した後も持ち株率をコントロールし、経営陣が変わらないままに成長を続ける企業も多いです。
スタートアップとベンチャーは同じものとして語られることもありますが、実は、ビジネスモデル、スピード感、収益性、資金調達方法、出口戦略など、さまざまな違いがあります。両者の違いを理解することで、自分のビジネスや投資の方向性をより明確にできるでしょう。
一方で、今回ご紹介した違いは一般論で、事業ごとに戦略は変わってきます。自分たちの事業に当てはめた時、具体的にどのような戦略を取るのが最適解なのか、信頼できる相談相手がおらず、悩んでしまう経営者さんは多いです。特とくにスタートアップは前例がないため、参考にできる情報が限られています。
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ライター:株式会社ネオマーケティング